― フランス刺繍アーティスト maison de jolie amie 中村 亜佐美さん ―


今回は、フランス刺繍アーティストで、maison de jolie amie の講師でもある中村 亜佐美さんにお話をうかがいます。中村先生は現在兵庫県西宮市でフランス刺繍教室を開講されています刺繍との出会い、軌道に乗せるまでの苦労話や、新サービスの誕生秘話、コラボ企画など詳細に深く掘り下げてお話をいただきました。クラフトに興味のある方は必見!

(細川)今回は、刺繍アーティストで、maison de jolie amie の刺繍教室も経営なさっている中村亜佐美さんにお話をお伺います。先生、よろしくお願いいたします。


(中村)よろしくお願いいたします。


(細川)この刺繍教室はいつ頃から始められたのでしょうか?


(中村)レッスンを始めたのは2018年です。このアトリエに移ってきたのは、コロナが流行した年ですから、2020年ですかね。


(細川)コロナが流行した年に移ってきたんですか!?


(中村)ちょうどタイミングが良くて、コロナが流行し始めたのが1月頃だったと思うのですが、まだその頃は緊急事態宣言も出ていない時で、規制もかかっていなかった時なんです。ちょうどその頃にアトリエを借りたいなぁと思っていた時期で。探していたら、2月にこちらが決まりまして、4月から入居ということが決まりました。この建物は新築で、契約時はまだ建築中だったんです。そのあと、ご存知の通りコロナが大流行したので、もう少し遅ければ、アトリエを借りる決断はしてなかったんじゃないかなぁと思います。

2018年9月に貸し教室を借りてスタートしたので、1年半ほどで常設のアトリエに移動した事になりますね。


(細川)それまでの貸し教室というのは、時間貸しのレンタルルームのようなものですか?カルチャーセンターのような?


(中村)いえ、カルチャーセンターではなくて、場所だけ貸してくれるところで。すごく安く借りれたんですよ。2時間半で1,700円だったんです。


(細川)えー!安っ!


(中村)スペースも狭くてMAX4名ほどのスペースで。ちょうどそのくらいでいいと思っていたので。そこを最初は午後だけ、4枠~6枠、隔週で抑えまして。


(細川)へぇ~。隔週で!?結構な頻度で抑えられたんですね!?


(中村)でも、賃貸料がトータル月1万円だったので、そんなに負担はないと思ったんです。1万円くらいなら、マイナスになってもいいか!という考えだったんですよ。


(細川)なるほど、なるほど。(感心)


(中村)おけいこ事は、振り替えられる日もないと人も集められないので。この日だけできますと言ってもダメですからね。


(細川)そうか、そうですね!その日は無理なので、じゃぁまた来月というわけには行かないですものね。


(中村)とりあえず、曜日や日程を選べる日数は必要だと思いまして。まぁ、投資の意味も含めて始めましたね。


(細川)へぇ~。(理解)


(中村)そして、友だちは一切声を掛けないと心に決めてました。面倒になると困るので。付き合いで来ていただかなくていいかなと。知らない生徒さんに来てほしいという考えがありました。お友だち同士で、習い合うお付き合いをされている方も見てきたので、そういうやり方は自分にはなじまないなと思って。だから、最初は生徒数ゼロでしたよ。


(細川)えーーーーー!!ゼロですか!!??(驚!!)


(中村)だから、貸しスペースの事務員の方も、「生徒さん連れてこられたんですか?」って聞かれたので「いえ、ゼロです。」って答えたら、「頑張ってくださいね~(汗)」って感じでした。でも、1万円だしいいわ!と開き直っていたんです。

で、どうしたらいいかなぁと対策を考えて、まずはブログとホームページはちゃんとしておかないといけないと思いました。

ちゃんとしたお教室というのを打ち出さないといけないので、それは仕事の一環として継続してやっていこうと。そしてブログをコツコツと上げていたら、告知も一切していないにも関わらず、3~4人の知人がどこかで調べたのか、来てくれたんです。そうすると、1回3,800円のレッスン料で3人来てもらうと、それで11,400円になるでしょ!?そうするともう賃貸料は赤字じゃないので、安心して教室を開けるようになりました。


(細川)なるほど!!(感心)


(中村)また、レッスンに必要な材料も必要な分だけ揃えるので、予め仕入れることはしていなかったんです。今でこそ、キット販売などで材料を仕入れることはありますが、当時は必要に応じてそろえていたので、無駄がなかったんです。だから、そんな感じでリスクなく始められたんです。


そして、だんだんとブログが読まれだして、ブログからの反応で教室にも生徒さんが増えてきて。検索で掛かるようになってきました。例えば「ししゅう教室 西宮」とかで、私の教室にヒットして、問合せが増えて、通われる方が増えていきましたね。それから、貸しスペースの方も空いていたので、午前・午後と借りるようになって…。

そうなると、問題は貸しスペースは時間貸しだから、撤収しないといけないということなんです!


(細川)あ、そうか!道具や材料を置いておけないんですね!?


(中村)そうなの!終了時間が来た!っていったら、15分で片づけて撤収しないといけないんです!入れ替わり制なので。もう、バタバタで。

だんだんそれがしんどくなってきて。おかげさまで生徒さんの人数も増えたので、荷物も多くなってきて…。私も忘れものが多くなってきたので、生徒さんに謝ってばっかりで…。

これはいけないと思って、常設の新しい場所を借りようと思ったんです。それで、このアトリエに移ってきたということなんです。


(細川)なるほどですね!!

その当時借りていらっしゃった貸しスペースも西宮北口だったんですか?


(中村)そうです。こちらとは逆方向で、阪急電車より北側にあったんです。


(細川)その西宮北口にこだわったのは、理由があるのでしょうか?


(中村)いえ、別に理由はありませんでした。貸しスペースも含めてなかなかいいロケーションがなくて。大きさとか賃料とか。

たまたま私が習っていた先生がアトリエを構えていらっしゃったんですけど、初めは西宮でやっていらしゃったとわかったので、検索をしたところ、この物件がいいなぁと思って。

西宮北口で始めたこともありますし、生徒さんにとってもこの場所が良かったみたいで。宝塚からも一本、大阪からも一本、神戸からも一本で通える立地が良かったんです。西宮だから通えますという生徒さんも多かったので、西宮北口からは出る選択肢はなかったですね。

いい物件との出会いもありましたしね。


(細川)それは、コロナ禍だから、物件が空いていたということですか?


(中村)いえ、それはなかったですね。この物件も、周りの物件もあっという間に埋まりましたよ。


(細川)そうですか!!??


(中村)それでね、やっぱり住居目的で借りられる物件は多いんだけど、私のようにアトリエとして貸していただけるマンションは少なくて…。だからちょっと予算オーバーだったけど、すぐにここに決めました。


(細川)もともと、中村先生も刺繍を習っていらっしゃったんですよね!?初めから先生になろう!って思っていらっしゃったんですか?


(中村)そうですね。教えたいなとは思っていました。でも、最初は刺繍でまとまったお金が頂けるとは全く思っていませんでした。趣味の延長だから発想にもなかったんです。でも、習い始めてその先生を見ていたら、そのレッスンの仕組みが分かってきて、レッスン料と生徒さんの数でだいたいやっていけるかどうかっていうのが理解できたので。まだ、その時は習っているプログラムの最中で勉強中でしたので、それが終わった時に私もやりたいなと思って。


(細川)へぇ。なるほど。


(中村)そもそも私が自立をしたかったんです。今はもうどうでもいいと思っているですけどね!


(細川)(笑)(笑)


(中村)でも、始めた時には刺繍教室でこんなに人数が集まるとは思ってもいなかったんです。刺繍に興味のある人がそんなにいるの?ってちょっと懐疑的でした。


(中村)私の先生は、こういった(実物を手に)ちょっと高額だし、特殊な刺繍を教える先生で、その刺繍の生徒さんしか教えていらっしゃらなかったんです。


(細川)(見せていただいた刺繍を指して)この刺繍は何という刺繍なんですか?


(中村)リュネビル刺繍と言ってフランスのオートクチュールに使われる刺繍で、ルサージュっていう刺繍専門の学校がフランスにあって、そこで刺繍留学した人にしか教えない技術があるんです。だから、その技術を教えてくれるところが無かったんです。私が習い始めたのが6年ぐらい前ですかね、無かったんですその頃は。私の先生はルサージュに刺繍留学に行ってそこで技術を習得して、教えてくださっていたんです。だから当時は、ルサージュに刺繍留学した人だけが持っている技術でしたが、今はその先生たちに習って習得した人たちが教え始めているんじゃないかな?私のように。


(細川)先生はそうですね第3世代ということですか!?


(中村)そうですね。でも、今でも本場で習得された方から学びたいと思われる方も多いですから。そういった先生はブランド力もあって人気なんですよ。

でも、なんとなく私は色んな刺繍の技術があった方が強いと思ったんです。ひとつの技術に特化するのもいいのですが、(実物を手に)このようなフランス刺繍はもう20年くらい前に習ったことがあったので、両方できて生徒さんが選ぶことが出来たら楽しいかなと。レッスン受けながら、違う刺繍を見てそちらにも興味がわいたら、そちらを受けて頂いたり、自由に選択できるのがいいかなと思いました。そうした方が生徒さんが集まりやすいかなと。

そしたら、その思惑がバチッとはまって、両方あることによって生徒さんの人数が増えました。


(細川)すごーーっ!!

フランス刺繍を習いに来られる生徒さんも、中村先生のリュネビル刺繡の技術が背景となって選ばれているのもあるんじゃないですか!?


(中村)でも、皆さんの話を聞いていたら、やはりどこで学ぼうかというポイントは、「作品」だそうですよ!

こんなものをつくりたい!という思いで、教室に来られています。私もそれはそうだろうと思っていたので、写真にはこだわりました。絶対にその作品の写真を見て来られるので。


(細川)なるほど!だから、すごい写真上手ですよね!!前から一人で感動してるんですけど!!


(中村)いやいや、そんなことはありません。


(細川)いや、いつも否定なさいますけど、ほんと感動します!


(中村)でも、写真がきれいじゃないと。そこが生命線だなと思っています。

だから、いいものを作っていたら、自然と人は集まってくるかなと思っていました。


(細川)なるほど。


(中村)そしたら、どうやって来てくださったんですかと伺ったところ、「こんな感じの刺繍はほかになかったので。」「中村先生の作風が好きだから。」という答えが返ってきたので、やはり作品が生命線だと思っています。


(中村)皆さんまずは検索を掛けてお越しになられます。「フランス刺繡教室 西宮」とかでね。たまたまあまり競合する教室が他になかったので、コンスタントにブログをアップすると検索でトップに上がってきたんです。そんな特別SEO対策とかしたわけではないんですけどね。ただ、検索ワードは何が掛かるのかはちょっと研究はしました。


(細川)へぇ~。(感心)じゃぁ。発信はもっぱらブログで?


(中村)ブログだけでしたね、まずは。そこからインスタも始めて…。知人からインスタは便利だよ、ブログのように文章を考えなくても写真だけでいいから、と聞いたので、インスタも情報発信として加わりました。


(細川)そもそも刺繍をする前は何をなさっていらしたのですか?


(中村)認定講師というのがこのお教室の世界にはいろいろなジャンルであるんですよ。

私が最初にやったのが、すごく簡単に講師の資格が取れるというのがあって、当時10万円を出せば取れたんです。グルーデコっていうんですけどね。クリスタルなどのゴージャスな雰囲気のパーツを使って台座に飾り付けていくクラフトなんです。


(細川)(実物を見て)へぇ~!きれいですね!!こんなの作れるんですか!?


(中村)すごく簡単に取れるんですよ!資格が。だからそれから始められる方が多いと思います。一時その世界では流行ったんです。誰でも先生になれるというので。

私は、そのグルーデコの技術と他のクラフトなどの作品のコラボをしたかったんです。いろいろな作品でコラボさせたら楽しいなと思って始めたんですよ。

だから、インスタの初めの方の写真はグルーデコの作品なんです。


(細川)ほんとだ!うわぁ~、キラキラしてきれい!


(中村)これを習いながら、ゆくゆくは先生もやってみたいなぁっと思って。お教室をやるんだったら、まずまず出来そうかな?と思い、試しに教えることをやってみようかな?と思ったのがきっかけですね。

当時息子がアメフトをやっていたので、チャームを作ったりしていたんです。こんな感じで。


(細川)(写真を見て)うわっぁ、すご!!


(中村)他の父兄の方からも、作って!という依頼があって、作ってたんですよ。

そしたら、たまたま父兄の方が百貨店の関係者の方がいらして、限定で百貨店で販売することになったんですよ!


(細川)すごいですね!!


(中村)1週間限定でね!


(細川)すごいですねぇ。(感嘆)もう、当時から立派なクリエイターじゃないですか!!



(中村)だから、インスタをカタログとして使っていたの。


(細川)へぇ~。素晴らしいです。


(中村)でも、すぐに売り切れてしまって。生産が追い付かなくて、徹夜の毎日でした。

その時に、モノを作って売るより、技術を教えた方が自分の体も楽だし、向いているなぁと思ったんです。


(細川)なるほど!その時は刺繍のレッスンは?


(中村)ちょうどその時にカリキュラムも終了して、教えられるようになっていたので、刺繍の教室を始めました。


(細川)ということは、製作活動はずっとやっていらっしゃったということですね。


(中村)いや、でも子どもが小さいうちは、小学生くらいまでは子どもに全力投球でしたね。


(細川)じゃ、その前は、グルーデコをされる前に刺繍をやっておられたということですか?


(中村)それは、子どもがまだ幼稚園のころです。子どものママ友が刺繍の先生をしておられて、見たことのないすごく素敵な刺繍だったので、2、3年習いました。その先生はすごいですよね!?その時代ネットも無い時代ですしね。作風がとても素敵で。ホテルで2年に1回展示会を大々的に行われるほどでしたから。その先生の作風が私の作品に活きているところがあるかも知れませんね。


(細川)すごいですね!子供の頃から習っていたわけではなくて、ご結婚なさってから、そこまで習得されたわけですから。


(中村)子どもの頃から創作活動は好きだったんです。小学生のころから編み物したり、ミシンを使ったり。だいたい何でも我流でチャレンジするタイプなんです。手仕事が好きなんです。だから、それが今、活きてるといえば、活きてるんだと思います。

極めてはないんだけど、何でも作っちゃうので、カタチにはしちゃいますね。

額装だけの刺繍とかではなくて、BAGやブローチや、お洋服などさまざまなものに活きてますね。

カルトナージュを始めたきっかけも、刺繍をミシンで巾着袋とか、BAGとかだけで作っていたら、幅が広がらないので、何か活かせないかなぁと思ったのがきっかけなんです。そしてカルトナージュを始めたら、刺繍との相性がすごく良くて。それでまた幅が広がったんです。


(細川)カルトナージュに刺繍をするのは、先生のオリジナルなんですか?


(中村)いえいえ、それはもう既に色んな方がやっていますよ。でも、その作風ですよね。その相性が良かったということですね。

今、カルトナージュの先生と、お洋服の洋裁の先生に習っているんですけど、すごく好みが似ているので、呼吸がばっちり合うんです。こういうものを作りたいというと、外さず作ってくれるので。だから、コラボレーションして一緒に仕事ができるんだと思います。

私たちはこだわりも強いので、その感覚が合うというのはすごく大事なんです。


(細川)そうでしょうね!アーティストが3人ですからね。


(中村)それで、3人で話しているうちに、コラボ企画した作品を売りましょう!という話になってきているんです。しかも安価なものではなくて。

安いものをたくさん作って売るのではなくて、高くてもいいから、もうここでしか手に入らな「いいモノ」を作って、みんなに喜んで頂けるように。そういう活動もしていこう!と。


(細川)それが、今後の目標ですか?


(中村)そうですね。今も、カルトナージュキットはカルトナージュの先生とのコラボ企画ですが、新たに3人のコラボ企画を進められたらいいなと思います。


(細川)なるほど、いいものが出来そうですね!


(中村)常になにか出来ないかなぁと頭には考えていて。カルトナージュキットもレッスンでは使っていたんですけど、ネットとかで販売できないかな?って考えてたんです。でも、実際たいへんじゃないですか!?


(細川)でも、刺繍のカルトナージュキットは昨年11月に発売したら、すぐに反応ありましたよね!?供給が追い付かないほど…。先生たちにはニーズに響く何かを持っていらっしゃるんだろうなと思います。


(中村)やっぱり、出すときには妥協はしたくないんですね。カルトナージュのトランクキットなんかも、すごく時間はかかりましたけど、出来上がったものはパーフェクトに近い仕上がりになっているので。だから、本当に「いい」と思わないと動けないというのはあります。

今回のキットもいいものが出来上がったんですが、キットだけでは作れないだろうなと。動画レシピが必要だろうなということで、動画も作成しました。


(細川)キットとともに、先生の動画が見れるのは、すごく価値が高いですよね!?


(中村)生徒さんがその動画を見て、きれいに作ってこられるんですよ。それを見て、私も自信につながりましたね。

それで、キットはキットでやるんだけど、今度は実は完成品の方がニーズがあるのかなぁと思い始めて…。


(細川)なるほど。新たなキット展開はしないけれども、新しく完成品の販売をしていこうということですか!?


(中村)そうそう。今までのモノは充実させつつ、新たに完成品を出していくということです。

このカルトナージュトランクキットは本当に自信作で、知ってほしいです。だから、これを知ってもらう、拡げることに注力したいですね。みなさん!知ってほしいです!!


そして、作家活動をしていこうと思っています。

実は、自分は作家じゃないなと思った時期もあるんです。色んな事をやっているので、ひとつのことを極めている人は作家さんだと思いますが…。いろいろ自問自答して…。自分は作家になりたいのか、大きな商売をしたいのか、何がしたいんだろうと思った時期がありました。いろいろやってみて、疲れもして、さまざまな経験をして。今は作家活動、モノづくりでいいものを、作品を知ってほしいと思うようになりました。

もちろん、レッスンは一番重要ですし、作品はレッスンの中から生まれてくることもあるので。生徒さんも感想や、ご要望をおっしゃっていただけるので。ただ、レッスンを詰め込み過ぎてしまうと、創作活動が出来ないですしね。


(細川)そうですね。今までさまざまなことを実践されていますものね。楽しみです。


(中村)今まで、アトリエを持ちたい、ネットショップをしたい、キット販売したい、と心に思っていたことが実現してきているので、思っていると自然と自分の動きもそうなるのでしょうね。

うまくいくかはわからないけど、目標を持って進んでいきたいと思います。


(細川)今日は貴重なお話、知らない世界がたくさんありました。ありがとうございました。


(中村)ありがとうございました。


ー インタビューを終えて ー

私も、好きなことを職業にできる人はうらやましいなぁ、と昔は考えたものだ。人には好きと嫌い、得意と不得意があり、職業も①好きで得意な職業、②好きだけど得意ではない職業、③好きではないが得意な職業、④好きでもないし得意でもない職業、この4つのマトリックスで考えられる。

以前テレビで「今でしょ!」の林修先生が、国語の講師をしているのは、好きではないけれど、得意だから、とおっしゃっていたことを思い出した。

得意ということがいかに自分と周りに有益かを説いていらした。

まさに、中村先生は、数少ない①の好きで得意な職業に就いておられるなと。

結婚して、お子様を育て上げられてから、刺繍と出逢い、またほかの技術も学び、自分でアレンジして作品を作り、教えるまでになられたのは驚きでしかない。本当のプロになられたということを意味しているが、その原動力は納得が行くまでやり続けることだ。プロである限り、中途半端な作品を世に出さないこと、試作を重ねることに努力を惜しまない。インスタグラムや、ネットショップの写真にしてもそうだ。一度すべて取り終え、バランスを取って見てみた時にイメージと違えば、今までの努力や時間は関係なく、新たに時間と労力をかけて撮り直していらっしゃる。

一般的な考え方としては、スケジュールを管理しながらやるべきことを消化していくことが仕事と考えがちだが、かくいう私もまさにその考えを改めなければならないと思わされた。

いつも、着地とゴールを自身で(勝手に)決め、そこに向かって邁進している。

中村先生のアスリートにも似た、ストイックな努力と安易な着地点を設定せず、次から次へと新しい目標に向かって邁進する姿は、私の目標そのものでしかない。


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